残業代を会社に請求する場合には、残業代がいくら発生しているのか、従業員の側で計算をしなければなりません。
本来労働時間を把握して、割増賃金を計算して支払うのは会社の業務ですが、会社がこれを計算せず、支払をしない場合には従業員がこれを行うしかありません。
(その1)時給額を計算する
割増賃金を計算する場合には、まず自分の時給額を計算しなければなりません。月給の場合、時間給については 「月額給与÷その月の所定労働時間」 で計算します。
たとえば、一日の労働時間が8時間であり、土日が休日とした場合、労働日数は22日になります。月によって労働日数は変わりますが、ここでは22日とします。
そうすると8時間×22=176時間ですから、 月の所定労働時間は176時間となります。月により労働時間が変化する場合多少計算が複雑になりますが、ここでは割愛します。
では月額給与についてはどのように計算するのでしょうか?
法律上、割増賃金算定の基礎となる月額給与には、 一律に支払われていない「家族手当」「通勤手当」「住宅手当」「別居手当」「子女教育手当て」「臨時に支払われた賃金」「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」 だけです。
これ以外の手当ては全て残業代基礎計算に組み入れられます。
わかりやすい例ですと、給与が月額20万円であったとします。そうすると、20万円÷176時間=約1136円 となります。このようにして時給額を計算します。
変形労働時間制の要件を満たしている場合(就業規則・労使協定・労使委員会決議による規定及び変形制開始前の書面による変形労働時間の提示)以外は労働基準法施行規則第19・21条に記載されている計算方法で行ないます。
(その2)時間外労働時間を把握すること
次に、自分がどのくらいの時間、残業をしたのかを確認することが必要となります。タイムカードを作成している会社の場合には、タイムカードの記載からこれを割り出すのが一番簡単です。
タイムカードをコピーするなどして、一日ごとに時間外労働、休日労働、深夜労働が、それぞれ何時間行われたかを計算するのです。
タイムカードのコピーが手に入らない場合は、残業時間のメモを取ってください。このメモを基に残業代の計算をします。手書きで行うこともできますが、エクセルなど利用した方が容易に行うことができます。
また、深夜労働と時間外労働が重なる場合や、一週間40時間を超える時間外労働があったかどうかなど、時間の計算は注意深く行うことが必要となります。
(その3)割増賃金を計算する
以上これまでの準備を行ったうえで実際の割増賃金を計算することになります。例えば、時給1000円の従業員が合計60時間時間外労働した場合1000円×1.25×60=7万5000円となります。
時給×割増率×労働時間という公式になります。深夜労働、休日労働の場合には、それぞれの割増率に応じた率で計算します。