解雇とは

整理解雇の4要件:解雇対象者の人選の合理性

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解雇対象者の選び方が公正・妥当であること

整理解雇の対象を決定する基準が、合理的かつ公平であり、併せてその運用も合理的であること。

整理解雇が止むなしと認められる場合でも、使用者は被解雇者の選定については、客観的で合理的な基準を設定し、公正に適用して行う必要があります。

基準としては、年齢、勤続年数、勤怠、成績の優良・不良などの労働力としての評価、労働者の生活への影響などの評価があげられます。

人選基準の例

(1) 業務能率が低く成績が上がらない者
(2) 勤続年数の比較的短い者(ただし、業務上必要な者、成績が特に優秀な者を除く)
(3) 配転を要する者で、適当な配転が困難な者
(4) 業務に対して非協力的な者
(5) 経営に不要と認められる者
(6) 欠勤、遅刻、早退の多い者
(7) 職場の秩序・風紀を乱す者
(8) 素行不良で社員としての体面を汚す者
(9) 業務に関する上司の命令に従わない者
(10) 他人の生産意欲を阻害する者
(11) 上司、同僚間の融和協力の程度の低い者
(12) 離職しても生活に影響するところの低い者
(13) 身体虚弱者
(14) その他経営効率に寄与する程度が低い者
特定の一部門に配属され、その部署が廃止されることが、直ちに解雇の対象者となるというわけではありません。

基準をまったく設定しないで行われた整理解雇は、解雇権の濫用として無効となります。

塚腰運送事件 東京地裁 平成16.7.8

輸送部門の縮小により運転手9人の減員が通知され、配転者の選定基準を基本給が高い者の順としたため、全員が労組組合員(半数以上が役員)となった。

裁判所は、人事異動により、基本給及び家族手当には変更がなく、歩合給が時間外手当になるのみであり、人選基準には不合理がないと結論づけた。

NTT西日本(出向者退職)事件 大阪地裁 平成15.9.12

希望退職について、全従業員を対象としなかったことだけで、直ちに違法だとすることはできない。

労働大学(第二次仮処分)事件 東京地裁 平成13.5.17

人員整理の必要が生じ、該当者の従事する広報と発送の業務を外部受託することとなった。

この業務に当たっていた当事者が労働組合を結成、会社は該当者3名に対し解雇を通告した。

裁判所は、使用者が解雇の後に人選の基準を明らかにする場合、その人選基準が合理的であり、(1)使用者が解雇当時からそのような基準を設定し、これを公平に適用して被解雇者を人選した、(2)しかし、解雇当時には従業員等に対してその旨を明らかにすることができなかった、(3)かつ、明らかにできなかった理由が存在した、という特段の事情がなければ、人選の合理性が根拠づけられるが、これに当たらないとして、毎月23万円の仮払いの必要性を認めた。仮払いの期間は1年間とすることが相当とされた。

ヴァリグ日本支社事件 東京地裁 平成13.2.19

解雇基準とされた53歳という年齢は、定年年齢までの残存期間における賃金に対する被用者の期待も軽視できず、再就職が事実上非常に困難な年齢であるといえるから、早期退職の代償となるべき経済的利益や再就職支援なしに上記年齢を解雇基準とすることは、解雇後の生活に対する配慮を欠く結果になり、加えて、幹部職員としての業務が、高齢になるほど業績の低下する業務であるとは認められないことからすると、幹部職員で53歳以上の者という基準は必ずしも合理的とはいえない。

よって整理解雇は無効である。

マルマン事件 大阪地裁 平成12.5.8

部署が廃止されることを理由に整理解雇を実施した事案で、「廃止時にその担当が原告であったというだけで、削除の対象者が原告に定めるものではない」とし、「原告の成績は決して優良とは言えず、就業態度も・・・良好ではなかったことは窺われるが、営業成績自体は・・・平均的なレベルであった」と判示された。

池貝鉄工事件 横浜地裁 昭和62.10.15

基準はあっても、基準が極めて抽象的であって、評定者の主観で左右されて客観性が担保されない恐れがある場合には、より詳細な運用基準(評価対象期間、評価項目、評価方法など)が設定され、それに従い評価されるべきである。
なお、非正規労働者を優先的に解雇する場合、パートタイマーや契約社員といった単に呼称だけの理由で整理解雇の第一順位とすることは問題でしょう。

 

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