偽装請負とは

偽装請負の判例集

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偽装請負の判例集

ナブテスコ事件 神戸地明石支部 平成17.7.22

原告は、被告会社の子会社(派遣業の許可を有しない)にパートタイマーとして雇用され、業務委託契約に基づき、親会社にて研磨作業・バルブ組立作業に従事した。親会社の班長の指示を受け、同じ作業服の貸与を受け、業務上は、親会社の従業員と一体となって仕事をした。
6ヶ月の有期契約が1回更新された。この際、特段の面接等もなかった。
その後、原告らは労働組合に加入し、これが偽装請負ではないかということについて団体交渉を行った。
神戸公共職業安定所も、親会社に対し、適正な請負により業務を実施するか、または、労働者派遣事業を中止するよう、是正指導を行った。
子会社側はこの指導に従ったが、コスト面から契約維持が困難となり、パートらに対し、親会社との請負契約終了を理由に、雇止めを通知した。
派遣先職場での状況は、
(1)当初から親会社社員からの指示で作業を行い、子会社からの指揮命令をうけていなかった。

(2)両会社間の契約内容にない、給与改定がなされた。

(3)作業は、親会社の正社員と渾然一体となって行われていた。

(4)出勤簿も親会社が管理し、残業も、親会社の職場長の指示で行われた。

(5)有給休暇の申請も、親会社の従業員と同一の用紙を使用して行われた。

こうしたことから、裁判所は、子会社側が親会社からは独立した法人であるとしたうえで、原告らの主張を認め、親会社と子会社の間には、形式的な業務請負契約があったが、実質的には親会社から直接作業上の指揮命令を受けて労務に従事しており、親会社が実施的に原告らに賃金を支払っていると判断した。

原告らは、勤務開始時点で、親会社と、黙示の労働契約を成立させているといえる。
雇止めについても、原告らの雇用を犠牲にすることによって、自ら造り出した違法状態を解消しようとするものであり、無効であり、原告らは、親会社側に対し、労働契約上の権利を有する地位にあるとされた。

エーシーシープロダクション制作スタジオ事件 最高裁 平成15.4.11

デザイナーが会社に対し損害賠償請求を行った事案で、雇用関係の存否の判断により一審(東京地裁 平成11.7.12)はデザイナーの請求を棄却、二審(東京高裁 平成12.11.9)は雇用関係を否定し、請求の一部を認容。最高裁は雇用関係の存在を認めて、これを差し戻した。
アニメーション制作会社で図画を創作していた外国人デザイナーが著作権法15条にいう「法人等の業務に従事する者」に当たるかどうか、が争点となった。

従業員は会社の指揮監督下で労務を提供し、その対価として金銭の支払を受けていたとの判断が下され、原審は被上告人(従業員)の在留資格の種別、雇用契約書の存否等といった形式的な事由を主たる根拠として雇用関係の存在を否定しており、法人等の業務に従事する者という会社のの適用を誤っている。

鹿島建設・大石塗装事件 最高裁 昭和55.12.18 福岡高裁 昭和51.7.14 福岡地裁小倉支部 昭和49.3.14

鹿島建設→新日本製鐵→大石塗装の順で、鉄骨塗装工事が請け負われた。大石塗装の従業員が、塗装作業中転落して即死した。事故発生時に、命綱を外しているうち足を踏み外し、養生網の継ぎ目部分の開口部から地上に墜落死した。
元請会社・下請会社双方の安全保障義務違反が追求された。
一審の判断
本人の過失によるものである。

二審の判断
安全保障義務違反があった。ただし、本人の過失を5割とみた。
被控訴人らはそれぞれ命綱の慎重な使用について徹底した安全教育を施すと共に、開口部その他瑕疵のない完全な養生網を設置すべき義務を負担していた。
鹿島は使用人と同視しうる関係にあるというべき。安全保障義務を負担する。

最高裁の判断
二審の判断を支持。

青森放送事件 青森地裁 昭和53.2.14

ビル清掃業に雇用され、同社と放送会社との請負契約に基づき放送会社に派遣されていた労働者の労働関係について、時間管理や指揮監督を放送会社が行っており、清掃会社は募集・賃金支払代行機関にすぎなかったこと等から、当該労働者と放送会社との間の労働契約関係が認められた。

池袋職安所長(アンカー工業)事件 東京地裁 平成16.7.15

業務委託契約を結んで働いたアンカー職人が、雇用保険上の労働者であると主張して、被保険者資格の確認を求めた。
契約を明確にする文書等はなかった。
裁判所は、雇用保険法4条1項にいう労働者とは認められないとした。

(判断基準)
(1)仕事の諾否の自由があった。
職人が拒否した場合、会社は他の職人を探した。

(2)支配従属関係になかった。
作業要領による指示も、通常の注文者が仕事を依頼するときに行う指示説明の範疇である。現場での職長が選任されていたが、これは指揮命令の統一化を図るために行われたものにすぎない。安全会議の参加も強制的なものでなかった。

(3)時間的、場所的拘束性はない。
作業開始も確定的なものではなく、タイムカードによる出退勤管理もない。

(4)報酬は単純な労務の対価ではない。
例えば、作業ミスをした場合、他の職人が修復すればその分を当人の報酬から控除した(=請負人の瑕疵担保責任)。

(5)事業者性があった。
工具を所有し、確定申告をし、労災保険も一人親方として加入していた。

(6)労務の代替性があった。
他社の仕事を受けることも禁止されていなかった。

関西棋院事件 神戸地裁尼崎支部 平成15.2.14

棋院とプロ棋士との関係は、雇用関係にあるとは認めがたいとされた。

サガテレビ事件  福岡高裁 昭和58.6.7 佐賀地裁 昭和55.9.5

事業場内の派遣労働者と派遣先企業との間の黙示の労働契約について争われた。
一審の判断
黙示の労働契約の成立を認めた
二審の判断
派遣元企業が独自の企業実体を有し、採用や労働条件の決定等、派遣労働者の身分上の監督を行っている場合には、派遣先である親会社と派遣労働者との間に黙示の労働契約の成立を認めることはできないとした。

「派遣」か「下請け」か、過労自殺訴訟で争点に
(読売新聞2001年3月26日記事より引用―を転載)
彼は派遣社員だったのか、それとも下請け会社の社員だったのか。

名古屋市の業務請負会社「ネクスター」に就職し、光学機器大手「ニコン」(東京都千代田区)で働いていた二男の自殺は過労が原因だったとして、母親が両社に損害賠償を求めた東京地裁の訴訟で、この問題が争点になっている。
二男が派遣社員だったか否かで、管理責任を負うべき会社が異なるためだ。

母親は「派遣社員という弱い立場で長時間労働を強いられた」と主張するが、ニコンは「下請け作業で派遣社員ではなかった」とし、ネクスターは「自殺と業務は関係ない」とそれぞれ反論している。
原告側によると、「労働者派遣」をめぐる過労死・過労自殺訴訟は全国初といい、訴訟の行方が注目される。

訴えているのは、岩手県一関市の自営業上段(うえんだん)のり子さん(52)。二男の勇士(ゆうじ)さん(当時23歳)は1999年3月上旬、埼玉県熊谷市のマンションで「ムダな時間を過ごした」と書き残し、自殺した。
訴えによると、勇士さんは97年10月、名古屋市の業務請負会社「ネクスター」に就職。埼玉県熊谷市のニコン熊谷製作所に派遣され、昼夜二交代制で半導体製造機械の最終検査を担当した。

休日出勤に加え、自殺直前は午前8時過ぎから翌日未明までの勤務が続き、1ヶ月の時間外労働は77時間に達していた。
65キロあった体重は52キロに減り、「派遣社員は使い捨てだ」と漏らすようになり、99年2月、ネクスターに退職を申し出た。

しかし、退職が認められる前に自殺した。
厚生労働省によると、労働者を登録し、派遣する「労働者派遣事業」は、労働者派遣事業法に基づく許可や届出が必要で、全国に約1万9.000事業所ある。
しかし、「業務請負」に名を借りた派遣が目立ち、旧労働省は86年、「派遣社員は派遣先の指揮命令で働く」などの基準を設けている。

のり子さんは昨年7月、ニコンとネクスターに総額約1億4.500万円の損害賠償を求め、提訴。
勇士さんがニコンの指揮命令で働いていたなどとして、「派遣社員だった」と主張している。一方、2社は「ネクスターの従業員として、業務請負の委託契約に基づきニコンで作業をしていた」と反論、自殺の原因も含め全面的に争っている。
派遣社員だったのなら主にニコン側、ネクスター社員として下請け業務を行っていただけならネクスター側に責任があることになるが、ニコン広報部は「裁判所の判断が出る前で、コメントは控えたい」、ネクスターも「回答は控えたい」としている。

 

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