従業員を奴隷扱いする経営者
近年、権利ばかりを主張し、まじめに働かないと従業員を揶揄する経営者。浪花節的な精神論で労務知識の欠片も無し。一歩下がって従業員の内容を聞く必要がないと思っているので、解雇するのもその場の気分次第なのです。
最初に触れた、「まじめに働かない」は、多くの場合、会社が満足する業績を上げていないことや会社への貢献度が見られないことを示唆しているようです。果たして、企業は何を重視した態度をとっているのかと疑いたくなります。
企業の思惑通りの働きをしない従業員に対し、”まじめに働かない”と言って難色を示すとは、自分が何様なのかと従業員はしっかり観察しましょう。加えて、対象の従業員が、残業代を払ってもらえませんかと言ってきた場合には、トラブルになった折に労働者に有利な材料を提供して貰いましょう。
残業代の支払いなど法律に書いてあることを言ってきた場合には、主張をきちんと話させて聞き役に徹し、がっちりと受け止める必要がありますが、ワンマンがゆえ、紳士な姿勢など皆無。解雇を意味する会社からの意思表示をする構図が浮き彫りになりやすくなります。
会社は、日ごろから恒常的に残業代に対してナーバスになっていることが多くあります。だからといって、残業代の支払を主張してきた従業員を”まじめに働かないのに権利ばかり”と扱って良いと思っています。その根拠は、「私は偉いのだから」がワンマン経営者の思考回路です。
ワンマン経営者が行う典型的な不当解雇
邪魔者扱いして解雇する考えになっては企業のためになりませんが、その場の気分で解雇するのです。
職務を限定した雇用でない場合は特に、組織から排除するのではなく、継続した雇用維持装置の中で、合法的な方法を確立することに邁進する必要がありますが、自分が偉いと誤認している思考回路なので救いようがありません。
到底、正当な理由とは言えない無理に付けた解雇理由が目立っています。そもそも解雇にする理由がないのに強引に解雇にもっていき、組織から排除しようとすることにボタンの掛け違いがあります。
近年、よくみかける解雇として、理由として表面化してはいないものの、その背景に、従業員の権利行使や態度が要因になっているものがあります。
例えば、権利行使のグループとして、有給休暇の取得申請、病気で休む、残業があるなら残業手当の支払い、社会保険未加入なので加入などがあります。
これらを要求する労働者の要求内容はいたって常識の範囲であり、法的に正当です。しかし、会社は、こうした権利を主張されることを嫌い、そこからいじめ・嫌がらせや退職問題になることが多いのです。
また、従業員の態度のグループとして、上司の挨拶もしない、会議で余計な意見を言う、業務命令に素直に従わないなどの態度があることで、感情が収まりつかなくなると、いじめ・嫌がらせ、退職問題に向かってしまいます。
こうしたことでいじめ・嫌がらせ、退職を余儀なくされることは労働者にとって理不尽であり、法的にも違法性が高いものです。退職に向かったきっかけは、表面的にいじめ・嫌がらせであると労働者は言ってきますが、企業組織のとらえ方として、上記のような背景がみえます。
一方で、法的ルールを誤って認識しているか、理解しようとしないので、間違った解雇が止まることはありません。試用期間中の解雇、解雇予告手当を支払っての解雇などが典型です。
解雇は、試用期間や予告期間を置けばいいというものではなく、労働契約を解除するに値するほどの将来的な予測性を吟味する必要がありますが、自分が気に入らなければ即解雇がワンマン経営者のお約束です。
教育・指導してももはや修正は不可能なレベルであると見極めていいのか、将来的にも改善不能とすることの影響、従業員の不利益はいかなるものかについて冷静に考える必要がありますが、考える能力がないく、又、学ぼうともしません。
将来的な予測性が求められるのです。多くの解雇事案に接していますと、中小企業においては、解雇できる期間として試用期間が設定されているように思うときが多くあります。試用期間中に何かあればすべて解雇できると認識していたりと、全て自分の都合の良い解釈に徹しているのが特徴です。
正論から言えば、将来予測性を考慮のうえで、最後の手段である解雇権を行使しなければならないかどうかを決定することが肝要です。解雇は、使用者が一方的に労働契約を解除する行為です。
一方的に解除することを、会社が勝手に労働契約の維持について決定できることと勘違いしている例が見られる昨今です。
短絡的に捉え、労働契約の知識の欠片もないので以上のような状況にある中小企業が非常に多くありますので、解雇された際は違法性を疑ってください。