目次
雇用者か請負かの判断基準
(1) 仕事の諾否の自由の有無 与えられた業務を断る自由があるか
(2) 業務遂行上の指揮監督の有無 逐次指揮命令を受けて作業しているか
(3) 拘束性の有無 作業場所、作業時間が自由になるか
(4) 報酬の労務対償性 報酬の支払いは出来高によるか、時間によるか
(5) 事業者性の有無 仕事に必要な道具・設備は、どちらが用意するか。諸経費(ガソリン代など)はどちら が負担するか。仕事のミスについて瑕疵担保責任を負うか。部下を雇うことができる
(6) 専属性の程度 他社の仕事をする自由があるか
(7) その他 税金(源泉徴収か確定申告か)、社会保険の加入、労災保険の加入など
派遣か請負か
請負が「適正な請負」かどうかを判断するためのチェック項目
下記チェック項目の「□」の項目に該当すれば、受託者が主体的に業務を遂行していると認められ、請負の正当性を裏付ける材料となります。
逆をいえば、該当しない項目があれば、適正な請負とは判断できない可能性があるということになります。特に労働時間関係の裏付資料について、吟味する必要があります。
業務の遂行方法に関する指示・管理
□ 作業場における労働者の人数、配置、変更等の指示を全て受託者が行っている。
□ 労働者に対する仕事の割り当て、調整等の指示を全て受託者が行っている。
□ 労働者に対する業務の技術指導や指揮命令を全て受託者が行っている。
□ 受託者自らが作業スケジュールの作成や調整を行い労働者に指示をしている。
□ 欠勤等があった時の人員配置は、受託者が自ら指示、配置をしている。
□ 仕事の完成や業務の処理方法の教育、指導を受託者自ら行っている。
□ 作業者の個々の能力評価を受託者自らが行い、発注者に能力評価の資料等を提出することはない。
□ 発注者の許可、承認がなくても、受託者の労働者が職場離脱できる。
(但し、施設管理上、機密保持上の合理的理由がある場合は除く)
労働時間等の指示・管理
□ 受託者が労働者の就業時間、休憩時間の決定、残業、休日出勤の指示、欠勤、遅刻、早退等の勤怠管理を 行っている。
□ 発注者の就業規則をそのまま使用したり、その適用を受けることはない。
□ 発注者が作成するタイムカードや出勤簿をそのまま使用していない。
□ 個々の労働者の残業時間、深夜労働時間、休日労働日数の把握、確認、計算等を発注者が行うことはな い。
企業における秩序の維持、確保の指示・管理
□ 発注者が作成した身分証明書、IDカード等を使用していない。
(但し、施設管理上、機密保持上の合理的理由がある場合は除く)
□ 発注者から直接、受託者の個々の労働者の能力不足等の指摘を受けていない。
□ 発注者が面接等を行い、受託者の労働者を選定することはない。
□ 発注者と同一の作業服(帽子を含む)を着用していない。
(但し、施設管理上、機密保持上等の合理的理由がある場合、または有償による貸与は除く)。
□ 誰を従事させるか、労働者の分担、配置等の決定を受託者が全て行っている。
業務の処理に必要な資金の調達・支弁
□ 必要になった旅費、交通費等をその都度発注者に請求することはない。
□ 原料、部品等を発注者から無償で提供されていない。
□ 出張交通費の実費を発注者の旅費規程によって請求、支払いすることはない。
業務処理についての事業主責任の負担
□ 契約書に、業務の処理につき受託者側に契約違反があった場合の損害賠償規定がある。
□ 契約書に、受託者の労働者の故意、過失による発注者または第三者への損害賠償規定がある。
□ 労働安全衛生の確保、責任は受託者が負っている。
業務内容が、単なる肉体労働になっていない
□ 処理すべき業務を、(1)受託者の調達する設備・機器・材料・資材を使用し処理している、または発注者 が設備等を調達する場合は無償で使用していない。
(2)受託者独自の高度な技術・専門性等で処理をしている。
((1)(2)のどちらかに該当していること)
□ 契約書に完成すべき仕事の内容、目的とする成果物、処理すべき業務の内容が明記されている。
□ 労働者の欠勤、休暇、遅刻等による作業時間の減少等に応じて、請負代金の減額等が定められることに なっていない。
□ 請負代金は、{労務単価×人数×日数または時間}となっていない。
(但し、高度な技術・専門性が必要な場合を除く)