職場いじめは、加害者が探し出した被害者候補を標的にする
加害者にとって、被害者はまだあくまで被害者「候補」です。攻撃してみると、意外に反撃してくる力が強かったり、予想外の仲間がいて援軍として現われないとも限りません。そこで、本当に被害者として標的に使えるかどうか、少しずつ攻撃して試してみます。
具体的には、加害者は日常会話の中の冗談に紛らせながら、ごく軽い攻撃を加えてきます。それは「ツッコミ」や「ジョーク」に見えます。
しかし、その中には被害者の失敗や欠点の指摘、被害者の持つ異質さの引き下げ、被害者の人格の否定などのメッセージが確かに入っています。
加害者は、あくまで、「ツッコミ」「ジョーク」のふりをして攻撃してきます。
しかし、社会常識的に悪い行為と見られる「嘲弄」「嘲笑」「揶揄」までにはならないぐらいのギリギリのところを徐々に狙ってきます。
そして、顔では笑みを浮かべながら、心中ではその攻撃を受けたときの被害者候補の反応を冷静に観察し、どれぐらいの反撃力があるのか測っているのです。
被害者候補の反撃力が弱いと分かれば、加害者の心の中では被害者候補が被害者に格上げされます。このとき加害者には喜びの気持ちが湧き起こります。
又、加害者は攻撃をしながらも、逃げ道を用意しています。この段階では、攻撃を「ツッコミ」や「ジョーク」で偽装している点が加害者の逃げ道になっています。
もしも、被害者候補が怒って言い返してくるなどして猛烈に反撃してきた場合は、「ただのジョークだよ。ジョークを真に受けて、何をそんなに本気になっているんだ?大人気ないな。お前は冗談のやり取りもできない奴だな。」という具合に言い逃れが可能になっています。被害者は常に何らかの逃げ道をいつも用意していることを覚えておいて下さい。
上記のようなやり取りがあった場合は、「私は冗談と思っていませんので、今の発言を取り消して下さい」と毅然とした対応で反撃してやりましょう。
又、被害者の方の中には、以上のような加害者から軽い攻撃を受けて、嬉しく思ったりもします。自分にコミュニケーションをもちかけてくれて嬉しいのです。あるいは、ムッとくるときもあります。
しかし、「ここで怒っては大人気ないな」と思い直して、悲しいような嬉しいような顔をして笑っています。
つまり、被害者は加害者に反撃しないのです。もちろん、加害者が悪意を持って、意図的に攻撃しているとは全く思っていません。
職場の人々にとっては、以上の加害者と被害者のやりとりは、他愛のない職場の1コマにしか過ぎません。一緒に笑っていたりします。そして、そのことはすぐに忘れてしまいます。
しかし、このようなことが繰り返され、更にエスカレートすれば、心身共に疲れて仕事どころではなくなってしまいます。