解雇とは

兼業禁止の有効性

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就業規則で兼業禁止を定める

労働者は、あらかじめ定められた就業時間において労務提供の義務を負います。ですから、就業時間以外の時間をどのように用いるかは原則として自由です。

しかし、会社は多くの労働者の協力の上に成り立っており、事業目的の実現のために組織的に活動する場である以上、おのずと規律が必要となってきます。

自由時間の活動であっても、会社の対外的信用、対面を傷つけることも生じます。

また、労働者がその自由時間を精神的・肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは、次の労働日における誠実な労務提供のための基礎条件でもあります。

そこで、多くの会社の就業規則に「会社の許可なく他人に雇い入れられ、又は他の会社の役員に就任し、もしくは自ら営業を行わないこと」などと規定し、これを禁止し、その違反が懲戒事由として定められています。

裁判所は、就業規則で二重就職・兼業を禁止することの合理性を認めています。

解雇が有効と認められた事例

ナショナルシューズ事件 東京地裁 平成2.3.23

懲戒解雇が認められた。

商品部長という要職にありながら、勤務会社の業種と同種の小売店を経営し、勤務会社の取引先から商品を仕入れ、また、商品納入会社に対する正当な理由のないリベートの要求・収受をした。

東京メディカルサービス事件 東京地裁 平成3.4.8

競業会社の取締役への就任。

Y社の経理部長であるXが、他方でA社の代表取締役としてY社の取引先と取引をしていたことをY社が知るところとなり、釈明を求めたにもかかわらず出勤せず、鍵等の提出命令にも応じなかった。

このため懲戒解雇された。

裁判所は、就業規則に定める懲戒解雇事由「正当な理由なく無断欠勤が7日以上におよび出勤の督促に応じなかった者」及び「職務上、上長の指揮命令に従わず、職場の秩序を乱した者」に該当し、また他社の代表取締役となり、Y社と関連する取引をして利益をあげるというは、重大な義務違反とし、懲戒解雇を有効としている。

小川建設事件 東京地裁 昭和57.11.19

労働者は、会社に事務員として雇用され、午前8時45分から午後5時15分まで勤務するかたわら、就業時間終了後である午後6時から午前零時までキャバレーの会計係として二重就職したケース。

判決:労働者側敗訴

本件労働者の兼業の職務内容は、使用者の就業時間とは重複してはいないものの、軽労働とはいえ毎日の勤務時間は6時間にわたり、かつ深夜に及ぶものであって、単なる余暇利用のアルバイトの域を超えるものである。

したがって、当該兼務が会社への労務の誠実な提供に何らかの支障をきたす蓋然性が高いものとみるのが社会一般の通念であり、事前に会社への申告があった場合には、当然に会社の承諾が得られるとは限らないものであったことからして、本件労働者の無断二重就職行為は不問に付して然るべきものとは認められない。

労働者が就業時間外に適度な休養をとることは、誠実な労務提供のための基礎的条件であり、また、兼業の内容によっては、会社の経営秩序を害することもあり得る。

社員がコンビニなどでアルバイトしているウワサが取引先にまで聞こえれば、会社の評判などにも影響しますから、単なる普通解雇に留まらず、会社の信用回復のために懲戒解雇するという場合も考えられます。

解雇が無効と認められた事例

これに対し、以下の例では、懲戒解雇は解雇権の濫用だとされています。

聖パウロ学園事件 最高裁 平成12.9.28

使用者から専任講師として1年の試用期間経過後契約終了の通知を受けた労働者が、使用者を相手として地位確認を争った別訴で1、2審とも勝訴した。

これに対し、使用者側が上告したところ、その上告中に、喫茶店を経営し始めた。使用者は労働者のこの行為が二重就職だとして懲戒解雇した。

最高裁は、使用者が就労を認めず賃金も支給していなければ、就業規則所定の兼業禁止等の平常時の労務管理規則を殊更に持ち出して追い打ち的な解雇処分をすることは、解雇権の濫用になり得るとの判断を指示し、解雇を無効としている。

東版事件 東京地裁 昭和59.2.28

印刷会社の写植工が業務欠勤中に競業会社に勤務したことについて、その当人は常勤として仕事をしたのではなく、会社を欠勤している間に競業会社に遊びに行き、その際、同社の仕事を手伝った程度であること、同人は会社において機密事項を扱う立場ではなかったことに鑑みるに、懲戒解雇事由としての兼業禁止には該当しない。

平仙レース事件 浦和地裁 昭和40.12.16

病気休職中のレース補修労働者が1日2~3時間程度で、約10日間知人の織物工場での手伝いを行い、謝礼を得た。

就業規則において二重就職が禁止されている趣旨は、従業員が二重就職することによって会社の企業秩序を乱し、あるいは従業員の会社に対する労務提供が不能若しくは因難になることを防止するにあると解される。

よって、会社の企業秩序に影響せず、会社に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度のものは含まれないから、就労の目的、期間、労働条件等からみて、二重就職にあたらないものとする。

したがってこれを懲戒事由とすることはできないため、この懲戒解雇は解雇権の濫用とされた。

国際タクシー事件 福岡地裁 昭和59.1.20

父親経営の新聞販売店の業務に従事し、右販売店への通勤に会社のタクシーを使用していたタクシー運転手が、就業規則の兼職禁止規定に違反するとして懲戒解雇されたのに対し、右懲戒解雇事由に該当する事実はなく解雇は無効であるとして地位保全等求めた仮処分異議の事例。

タクシー運転手の毎朝2時間程度の新聞配達と非番の日を利用してのその集金業務は、兼業禁止条項に該当することは否定できないが、これを理由に懲戒解雇とすることは、解雇権の濫用となる。

 

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