パワハラの事実をどうやって第三者に示せるか
パワハラの事案で争いになった時、会社や加害者は必ず「知らぬ存ぜぬ」を決め込みます。
酷い場合には、加害者と被害者のやり取りを、ICレコーダーで録音した決定的証拠を突き付けても、「そのなものは、いくらでも改ざん出来るだろう」などと、開き直ります。
そもそも、パワハラ加害者は、卑劣な不法行為を平然とする頭の配線が狂っている人間ということを肝に銘じておきましょう。
パワハラの労働問題の根本的な問題は、本人が主張するパワハラがあったことの事実を第三者にどうやって示すかということです。
パワハラの証拠をいかに残せることができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
暴行及び傷害の場合
最低でも、医師の診断書を取って下さい。そのシーンの録画出来る可能性は低いと思います。
ICレコーダーで録音は、できたとしても音ですから暴行・傷害の音を示しているとは客観的に示せない可能性のほうが大きいですが、音声と診断書のセットであれば、第三者の心証は被害者に有利になります。
そして、暴行された場合、その場で警察を呼んで被害届を出しておくのも証拠になります。
叱責・罵倒の場合
書面やメールによるものは、とにかくそれをすべて保管することが最低限です。
手書きはそのまま保管します。ワープロ打ちの書面もそのまま保管します。問題はメールです。
何が問題で重要なキーになるかと言えば、基本はデジタルデータです。ハードディスクやメモリーカードなどに保存することは最低限です(できれば後者が望ましい)。それプラス、プリントアウトが必須です。
しかし、それだけでは足りません。赤文字で書いてある箇所などがあった場合、カラープリンターでアウトプットしていなければわかりません。赤文字は強調表現になります。重要な証明につながります。
簡単に記録する方法は、カメラ撮影です。携帯カメラで撮影し、保存する方法でも判別できるのであればないよりはぜんぜんましです。色以外の強調表現(大文字、ゴシック文字、下線など)はアウトプット・写真どちらでも判別できると思います。
口頭による叱責・罵倒の場合
確実なのは録音です。幸い最近のICレコーダーは、鮮明に録音できるものが多いので期待が持てます。
しかし、話している人間の場所とレコーダーの場所の距離により聞き取れない場合が多くあります。
パワハラの相談では、不鮮明なものも非常に多く難儀するケースもあります。その場合は、大変ですが、重要なシーンを中心にペーパーに起こして下さいと言っています。
何もないよりはまだ使えるからです。また、当事者の証言、同僚の証言、メモ、死亡の場合は遺書なども重要です。
上記の方法で記録に残せないパワハラ行為の場合
メモ、日記などで書き留めておくしかないでしょう。無視や仕事外し、困難な仕事を強制されたなどです。ただその場合、いつからか、どのくらいの頻度、相手の氏名、日時など詳細であればあるほど、少しでも疎明に繋がる可能性があります。
パワハラは本人の主張だけでは難しいですから、どうやってパワハラの事実を示すことができるか、どれだけ示すことができるかにかかっています。