パワハラを受けた場合の対処法
終わらない不況の影響で企業を取り巻く環境は日々厳しさを増していきます。
リストラ目的の上司から部下への嫌がらせ、仕事のストレスからくる新人いじめ、プライベートにまで口を出す先輩の存在など、社内が意地悪な人間であふれかえっている職場も珍しくありません。
こんなイジメの言葉を投げかけられたら、ただ耐え忍んでいるだけではいけません。何も反論しない相手にはパワハラはますますエスカレートするでしょう。心身ともに疲れ果てて、最終的に「退職」に追い込まれかねません。
意地悪をするような低俗な人間のために苦しんだり悩んだりするのは馬鹿げています。悪いのは相手や会社であり、あなた自身ではありません。
(その1)パワハラにあったら
明らかな暴言や誹謗中傷を繰り返し受けている場合には、ICレコーダーを入手して、相手の発言を録音することから始めてください。
今後、訴訟に踏み切るにしても、人事部に相談するにしても、ICレコーダーで記録された証拠ほど、強い味方はありません。私も以前は、受けた発言のメモ取りを勧めていた時期がありましたが、弁護士や人事部にメモを見せても、それほどインパクトはないのが実情で、それほど強い証拠になりません。
今は、ICレコーダーも安いのがありますので、まずは購入しましょう。そして、二人きりになったり、別室に呼び出されるなど、これから何か言われるかもしれない状況になったら、事前に、ICレコーダーで録音を始めてください。
録音することを相手に伝える必要はありません。黙って、ポケットに入れたレコーダーの電源を入れて、相手の暴言を待ちましょう。それが最強の証拠になります。
パワハラは、どんどんエスカレートしていきますので、今の段階で軽いモノだったとしても、証拠になるようなモノは大切にとっておいて、いざというときに使います。同じような被害にあっている人がいないか、協力してくれる人はいないか、探します。
職場の誰もあなたがセクハラにあっていることに気づいていない場合は、特に注意が必要です。同僚に、パワハラの目撃者になってもらえるように、自分のことを少し、観察してもらいましょう。
(その2)パワハラの改善要求をする
勇気をもって相手に、次の2点をはっきり伝えましょう。
- 「パワハラをやめて欲しいこと」
- 「パワハラをやめなかったら、別の手段に訴えるつもりであること
相手はパワハラをしている認識がない場合があります。相手に「本当にいやだ」ということを伝えることで、パワハラが止まる場合もあります。
ただし、職場内の出来事ですから、安易に改善要求をしても、無視してなかったこととされたり、余計にパワハラ行為がひどくなる可能性もあります。したがって、是正を求める方法は、相手によって慎重に選ぶことが必要となるでしょう。
また、社員がみな、パワハラに対して非協力的な場合や、社長が加害者である場合もあります。パワハラがあり、その防止を求めたという証拠としても、内容証明を会社宛に送るのも有効です。その場合は、もちろん加害者本人にも、慰謝料を求める内容証明を送ります。
(その3)パワハラを法的手段に訴える
内容証明を送っても解決しなかった場合には、労働局に申立をしたり、裁判に提訴します。パワハラをめぐる裁判は全国各地で提訴されています。
雇用主には、労働者が健康で働くための安全に配慮する義務があります。パワハラを放置することは安全配慮義務違反に該当します。
パワハラの結果、うつ病などの疾患にかかった場合は労働災害の疑いがあります。労災認定審査請求も可能です。肉体的な暴力は、パワハラの範囲を超えて傷害事件の可能性もあります。刑事・民事・労働法違反、多方面から検討が必要です。
いずれにしてもパワハラをされて、泣き寝入りするのは、あなたにとって最大の屈辱ではないでしょうか。