パワハラとは

パワハラ判例集2

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目次

電通過労自殺事件 最高裁 h12.3.24

概要
電通社員の自殺に関する事案。
平成2年同社に入社、ラジオ局に配属されたが、すぐに残業が続く状態になった。平成3年に入ると深夜に及ぶ残業がさらに悪化し、特に7月には、4日に1日は午前6時30分までの徹夜残業という事態になってしまった。

その頃になると、本人も自信の喪失、精神的な落ち込みや不眠がひどくなるという状態になった。
8月には上司に「自分は役に立たない」「人間としてもう駄目かもしれない」といった言動をとるようになって、27日自宅で自殺した。

家族は会社に対し、民法415条・709条に基づき2億2,260万円を請求。

判決
第一・二審(東京地裁 h8.3.28、東京高裁 h9.9.26)は、長時間労働とうつ病、自殺による死亡との間に相当因果関係を認めた。

ただし、第二審は、過失相殺により8,910万円に減額した。

最高裁判決では、心身ともに疲労困ぱいしたことが誘因となってうつ病に罹患し、うつ状態が深まって衝動的に自殺したとし、長時間労働と自殺の因果関係を認めた。

また、会社に対しては、健康状態が悪化しているのを認識していながら、負担を軽減させる措置をとらなかった過失があるとして、安全配慮義務違反を全面的に認め、1億2,600万円の損害賠償を命じた1審判決を支持した。

西谷商事事件 東京地裁 h.11.11.12

概要
機械器具等の販売、損害保険代理業務等を営む会社に勤務する女性が、従前行っていた損保関係業務部門から、全く経験のない機械販売の営業業務部門に配転された上、様々な暴言(『この野郎』『ぶっ殺すぞ』『会社に来るな』)を浴びせられるとともに、暴行を受けたとして、(1)行為の差止め、(2)会社に対しXの営業中の尾行及び行動監視の差止め請求したケース。

判決
出版物の事前差し止めを認めた北方ジャーナル事件の最高裁大法廷判決を引用したうえ、生命・身体・名誉以外の人格的利益を内実とする人格権についても、それが生命、身体、名誉と同様に極めて重大な法益であり、その人格権が物件と同様に排他性を有する権利といえる場合には、加害者に対して差し止めを求めることができるとした。

しかし、単に暴言を浴びせ罵倒し、威嚇するだけでは、自尊心、名誉感情が害されるだけである(名誉という人格的利益が侵害されるとはいえない)から、これらの行為を差し止めるには、たんに不快感を与えるだけでなく、屈辱感、焦燥感、恐怖心などを生じさせてその人が精神的苦痛を被ることが予想されるほどのものであり、かつ、それらの行為が相当多数にわたり反復継続して繰り返されていることが必要であると判示した。

そして、本件ではそのような事情は認められないとし、暴行行為についても単なる偶発的なものであるとして、申立を却下した。

神奈川中央交通事件 横浜地裁 h.11.9.21

概要
駐車車両に自己の運転する路線バスを接触させたことを理由に、約1か月の間、下車勤務として、炎天下の下、営業所構内除草を、常務復帰後も1か月以上の添乗指導を命じられたバス運転士が慰謝料を請求した。

判決
構内の除草作業は下車勤務の勤務内容のひとつであると認めたが、期限を付さず連続した出勤日に、多数ある下車勤務の勤務形態の中から最も過酷な作業である、炎天下の除草作業のみを選択したこと等の事情からすれば、右命令は懲罰的な色彩が強く、常務勤務復帰後に安全な運転をさせるための手段としては不適切であるとして、右命令を発した営業所長およびその使用者である会社に金60万円の慰謝料の支払いを命じた

なお、1か月間の添乗業務については違法性を否定した。

エフ・ピコ事件  東京高裁 h12.5.24 水戸地裁下妻支部 h.11.6.15

概要
違法な配転命令やさまざまな嫌がらせによる退職強要受けて、退職するに至った労働者6名が、退職しなければ得られたであろう逸失利益、慰謝料等を請求した。

判決
一審
「使用者が労働者がその意に反して退職することがないように、職場環境を整備する義務を負い、また、労働者の人格権を侵害する等、違法・不当な目的・態様での人事権の行使を行わない義務を負っているものと解すべきである」とし、会社の様々な行為は「原告らが有する意に反して退職させられない権利を侵害したものであるから、債務不履行ないし不法行為を構成する」として、6か月の給与相当分の逸失利益、慰謝料(50万円ないし100万円)等の支払いを命じた。

なお、本件は東京高裁で労働側が逆転敗訴しているが、その理由は退職強要の事実が存在していなかったという事実認定によるものであり、本判決の法理論を覆したものではない。

二審
当事者が勤務先限定で採用されたという事実は裏付けられていないし、就業規則上の規定(業務上の必要から転勤・長期出張がある)もあった。

人選については、会社の責任と権限の下にあるものである。
会社が転勤の同意を取るために発令を延期していることや、本社工場への出張などにより実情把握を促している点などから、最大限の努力をしている。

部長が「懲戒解雇」に言及して転勤を強要したという指摘には、就業規則の規定を説明したにすぎず、辞職を強要したとまでは認めがたい。

こうしたことから、転勤要請を拒否し、各人の意思に基づき退職したものであって、自己都合による退職であり、会社の人事権の違法や不当行為はあったと認められないとした。
一審では現地採用者は「転勤はない」と見るべきだとしたが、二審は、勤務地限定を認めるに足りないとして、これを否定した。

その後、最高裁で和解が成立し、第一審の算定額の半分の水準で解決している。

北九州西労基署長事件 福岡地裁 h10.6.10

概要
出版社の営業部次長Bの脳内出血に関する事案。
売上げを伸ばせと命じる社長と部下の間に立って、ストレス、疲労が極度に蓄積していた。

殊に、発症前1か月は、部下の独立の動きを押さえるための対策に追われ、疲労困ぱいしたなかで脳内出血で倒れた。

発症前1年間の実質拘束時間は1日12時間30分にまで達し、業務終了後も社長の指示で営業部員と飲酒するという状況であった。

判決
判決では、本人が高血圧症だったとしても、営業部次長としての過重な業務、発症1か月前の部下の退社・同業別会社設立という異常な事態は、労災保険認定の要件に該当するとし、業務上の疾病と認めた。営業部員との飲酒も業務の延長としている。

K青果卸売株式会社損害賠償事件 和歌山地裁 h10.3.11

概要
「ばばぁ」なとと呼称されたことについて、従業員が抗議した。

判決
原告は、「おばん」という呼称に対して抗議しており、原告が右呼称を是認していたと認めることはできないし、原告の年齢、被告Tらの会社内における立場などに鑑みれば、原告が抗議している以上、「おばん」という呼称は侮辱的な呼称であると言わざるを得ないのであって、「ばばぁ、くそばばぁ」という呼び方に至っては原告を卑しめる呼称以外のなにものでもない。

被告Tらは自分たちの行為について、原告が冗談を言ってきたとか、嫌悪感を持っていなかったとか主張しているが、原告が被告Tらの地位、従業員の構成、原告の年齢などに鑑みれば、被告Tらの行為について原告が全部抗議をしたり嫌悪感を明示しなかったとしてもやむを得ないところであって、・・・

被告Tらは、被告会社の被用者であり、被告Tらの前記不法行為は被告会社の営業時間内に被告会社の営業所内で行われたものであるから、被告Tらの職務と密接な関連性があり、被告会社の事業の執行につき行われたものと認めることができる。

横浜セクハラ事件 東京高裁 h.9.11.20

概要
事務所内で上司に抱きつかれるなどのセクハラを受け、退職するに至った女性労働者が損害賠償請求した。

判決
一審判決は、事務所内での抱きつき行為について、20分もの長時間、上司のなすがままにされていたこと自体が、考えがたく、そのような被害にあえば冷静な思考、対応をとるのは、不可能であると考えられるのに、原告女性の思考、対応は冷静だったことなどから、女性の供述には信用がおけないなどとして請求を棄却した。

控訴審判決は、被害女性の供述の信用性につき、アメリカにおける強姦被害者の対処行動についての研究などに基づき、女性の供述に信用性を認めた上で、上司及び会社(使用者責任)に対して275万円(うち25万円は弁護士費用)の支払いを命じた。

なお、会社の労働環境整備についての義務違反を理由とする、会社そのものの不法行為責任については、会社がセクハラの事実について確実な証拠を有していなかったことから、これを否定した。

京都セクシュアル・ハラスメント(呉服販売会社)事件 京都地裁 h.9.4.17

概要
女子更衣室がビデオカメラで隠し撮りされていることを会社が放置しており、このことを理由に原告が朝礼で「会社を今は好きになれない。」と発言したところ、別の日の朝礼で会社の専務が原告に対して、今後も勤務も続けるかどうか考えてくるようにと発言をしたため、以降職場内の人間関係がぎくしゃくとし退職を余儀なくされた。

判決
被告会社は、雇用契約に付随して、「原告のプライバシーが侵害されることがないように職場の環境を整える義務」とともに「原告がその意に反して退職することがないように職場の環境を整える義務があるというべきである」とし、これらの義務を怠った会社には債務不履行責任があるとした。

また、専務個人にも不法行為による損害賠償義務を認めた。賠償額としては、退職による逸失利益(退職しなければ得られたであろう利益)として、180日分の賃金相当額(約79万円)、慰謝料として100万円(専務に対する関係では50万円)、弁護士費用15万円(専務に対する関係では10万円)を容認している。

JR東日本・本荘保線区事件 最高裁 h8.2.23 仙台高裁秋田支部 h.4.12.25

概要
国労マーク入りのベルトを着用して就労していた組合員に対して、本来業務を外して、用便に行くことも容易に認めず、手を休めると怒鳴るなどして会社の就業規則全文の書き写しをさせた。

判決
右行為は、合理的教育意義のないところで見せしめを兼ねた懲戒目的からなされたものと推認され、当該組合員に「故なく肉体的、精神的苦痛を与えてその人格権を侵害するもの」であるから不法行為を構成し、右行為は職務の執行として行われたものから、会社にも使用者責任が生じるとして25万円(うち、5万円は弁護士費用)の損害賠償を認定した。

なお、会社からの上告は棄却されている(最高裁 h.8.2.23)

関西電力事件 最高裁 h7.9.5

概要
労働者が特定政党の党員またはその同調者があることを理由として、会社が職制等を通じて、職場の内外で労働者を継続的に監視する態度をとったうえ、労働者が、極左分子であるとか、会社の経営方針に非協力的なものであるなどとその思想を非難して、他の従業員に接触し、交際をしないように働きかけ、種々の方法用いて職場で孤立させ、さらに退社後労働者を尾行したり、ロッカーを無断で開けて私物の、手帳を写真に撮影した。

判決
一審判決(神戸地裁 s.59.5.18)、二審判決(大阪高裁 h.3.9.24)ともに、これら行為は会社そのものの、不法行為とみるべきであるとして、会社に損害賠償の支払いを命じた(認容額は、四名の原告それぞれに対して90万円。うち10万円は、弁護士費用)

バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件 東京地裁 h.7.12.4

概要
外国銀行で33年間勤務し課長職だった原告が、ライン措置(課長職)から外される降格処分を受け、その後、従前契約社員が行っていた、受け付け業務に従事させられた。

原告は当初の約3カ月間は、一日中受付業務に従事させられ、その後は他の仕事も与えられるようになったものの、受付そのものが配されるまでの約3年半の間、昼休み時間帯の一時間は受付業務に従事させられた。

判決
右受付業務への配転は原告の人格権(名誉)を侵害するもので、原告を退職に追いやる意図をもってなされたものと推認される裁量権を逸脱した違法行為であるとして、銀行に対する100万円の損害賠償を認容した。

四日市北郵便局事件 津地裁四日市支部 h7.5.19

概要
合理化計画に反対している労働組合員に対し、ビラ配布妨害、給与の口座振り込みの強要(「給与振込みができゃんような職員はいらん。辞めよ」との発言)、仕事上の嫌がらせ(横に来て「字が下手やな。手が震えとるやないか。」などとからかった)、ボランティア貯金加入の強要、降格・退職の強要があった。

判決
管理職としての指導・監督上あるべき程度を逸脱した威迫的、侮蔑的、挑発的なもので不当に原告の人格を傷つけ精神的苦痛を及ぼしたとして、3名の原告に対し各25万円の支払いが国に命じられた。

ただし、ロッカー検査の際に、入念に原告のロッカーを調査された件については、嫌がらせとまでは認められないとした。

エール・フランス事件 千葉地裁 h.6.1.26/本訴損害賠償請求事件

概要
会社の経営合理化に伴う希望退職者募集の中で、これに応じない労働者に対し上司ら4人が暴行を加えて退職届を提出するように強要し、その後さらに当該労働者に対し、口頭弁論終結時までで11年間、業務上必要のない単純な統計作業に従事させた。

判決
これら暴力行為や単純な統計作業への従事(仕事差別)が当該労働者に対する不法行為を構成するとした。

また、暴力行為が就業時間中に就業場所で行われたものであること、仕事差別については統計作業の指示が、会社の業務として行われたことから、会社にも使用者責任が生じるとした(認容額は暴力行為について200万円、仕事差別について100万円、弁護士費用30万円)。

なお、判決は、原告労働者がとった録音テープについて、それが職場という密室の中での暴力行為者を相手としてとらえるたものであり、録音テープの証拠能力を認めないと、相手方の違法行為を究明できないことになるとして、録音テープの証拠能力を認めている。(控訴審でもほぼ同様の結論が維持されている。)

松蔭学園事件 東京高裁 h.5.11.12

概要
高等学校の専任教諭だった原告を、昭和55年4月から学科の授業、クラス担任等の校務分掌の一切から外し、昭和56年4月からはその職員室内の席を他の教職員から一人だけ引き離し、さらに昭和57年3月からは従来事務用品等の物置として使用されていた部屋の一部を衝立とカーテンで仕切り「第三職員室」と表示しただけの場所に、1人だけ隔離し、昭和61年8月からは何らの用務も与えず自宅待機を命じつづけた。

判決
このような一連の行為はそれを正当化できる理由もないので違法であるとした。

また、これら行為は高等学校の校長、副校長によってなされたものであるから、被告学校法人は使用者責任に基づき、不法行為に基づく損害賠償義務を負うとした(一審の東京地裁 h.4.6.11は損害額として400万円を認容したが、控訴審は600万円を認容した。)

国鉄鹿児島自動車営業所事件 最高裁 h5.6.11

概要
降灰除去作業の命令が、労働者の人格、権利を不当に侵害するか否かが争われた。

判決
降灰除去作業は、鹿児島営業所の職場環境を整備して、労務の円滑化、効率化を図るために必要な作業であり、また、その作業方法等からしても、社会通念上相当な程度を越える過酷な業務に当たるとはいえない。

これが殊更に被上告人に対して不利益を課するという違法、不当な目的でされたものであるとは認められない。

福岡セクシャル・ハラスメント事件 福岡地裁 h.4.4.16

概要
出版社の編集長が、会社内外の関係者に対し、対立関係にある部下の女性従業員の異性関係が乱脈であるかのように非難するなどして、当該女性の評価を低下させて退職に至らしめた。

判決
編集長の行為が不法行為に当たると判示するとともに、「使用者は・・・労務遂行に関連して被用者の人格的尊厳を侵し、その労務提供に重大な支障をきたす事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切に対処して、職場が被用者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務もあると解される」と判示し、編集長と原告の確執を認識していながら、原告が退職することで事態収拾することを是認した会社の専務の行為も、右の注意義務に反するとして、編集長及び会社に対して損害賠償として165万円(うち15万円は弁護士費用)を認めた。

東芝府中工場事件 東京地裁八王子支部 h.2.2.1

概要
所属長が部下である従業員に対して、頻繁に注意したり、反省書を書かせるなどとしたため、この従業員は心因反応を示し欠勤するに至った。

判決
安全や機械の操作等に関して注意したり、反省書を書かせることは適切な行為と評価できる。

しかし、渋る原告に対し、休暇をとる際の電話のかけ方のような、申告手続き上の軽微な過誤について、執ように反省書を作成するように求めたり、後片付けの行為を再現するように求めた行為は、一連の指導に対する原告の誠意の感じられない対応に誘因された苛立ちよるものと解されるが、いささか感情に走りすぎたきらいがあることは否めず、製造長として従業員に対する指導監督権行使の裁量の範囲を逸脱するものとして違法性を帯びるものである。

また、反省書等の作成を求めたことが遠因となって当該労働者が心因反応を示し早退、欠勤するに至ったことからすれば、当該労働者は早退、欠勤によりカットされた賃金請求権を有するとした。

所属長(不法行為)及び会社(使用者責任)に対する15万円の損害賠償を認容し、会社に対する5万円余りの賃金請求権を認容した。

繁機工設備事件 旭川地裁 h.1.12.27

概要
女性従業員が妻子ある同僚と交際するようになった。このことが他の従業員や取引先に知られてウワサに。

会社が男性従業員には交際の中止を申し入れた。女性側がこれに反発、会社は、女性に退職を勧奨。本人が拒否したため、解雇を通知。
女性従業員は、解雇の無効を訴えた。

判決
女性の行為は社会的に非難される余地はあり、就業規則の素行不良には該当するが、「職場の風紀・秩序を乱した」ということは認められない。

解雇は無効であり、基本給と住宅手当を仮払いすることを命じた。

ネッスル(専従者復職)事件 神戸地裁 h1.4.25

概要
2つの労働組合が併存している事業所で、会社が労働協約に反して、第一組合の専従者の職場復帰に際し、現職と同等の職務に復帰させなかった。

これを嫌がらせだとして、慰謝料請求をを求めた。

判決
隔離された場所で過酷な作業を命じられた原告には70万円、メモ用紙作成作業を命じられた原告には50万円の慰謝料が認められた。

なお、第二組合に取り囲まれて暴行を受けたことは偶発的な事件であるとして、会社には責任がないとされた。

平安閣事件 最高裁 s62.10.16

概要
草取り、ガラス拭きの業務命令が適正か争われた。

判決
このような就労命令が控訴人の人事管理権に基づくものであるとしても、とうてい正常な人事管理権の行使とはいえず、被控訴人らの予定された業務の範囲を超えて著しく苦痛を与えたものであるから、違法に被控訴人らの権利を侵害した不法行為に該当するものであり、これによって被控訴人らは精神的苦痛を被ったということができる。慰謝料は、それぞれにつき30万円が相当。

下関商業高校事件 最高裁 s.55.7.10

概要
教育委員会が、一貫して退職勧奨に応じないと表明していた2名の教諭に対し、10回以上も出頭を命じ、勧奨担当者が1人ないし4人で、短いときでも20分、長いときには2時間15分に及ぶ勧奨を繰り返し、退職するまで勧奨を続けると繰り返し述べ、勧奨に応じない限り組合の労働条件改善要求にも応じないとの態度を示した。

判決
右退職勧奨行為が違法であるとし、2名の原告に各4万円、5万円の損害賠償を認容した原審(広島高裁 s.52.1.24)の判断を支持し、上告棄却した(ただし、定年制の定めのない公務員に対する退職勧奨の事案であることから、本件退職勧奨の手段・方法が社会通念上の相当性を逸脱していないとする反対意見がある。)

日野車体工業地位確認等請求上告事件 最高裁 s54.11.2

概要
勤務中の暴力事件により諭旨解雇を求められた。

判決
Xの行為は、勤務中の職場で勤務中の同僚に対し暴力を振るったという点で、企業秩序保持の見地から看過し得ないものがあるが、他方、Xの暴力そのものはさして強度のものではなく傷害にも至らなかったこと。

被害者Mにも多分に挑発的言辞があったことと、暴行はいわば偶発的行為でXが過去に同種の行為に出たことはないこと、同人は会社に昭和26年以来勤務する平均的従業員であり、過去に懲戒を受けたこともなく、職務精励者として度々表彰されていること、本件後間もなく反省の意を表明していることなどの諸事情からみて、会社が諭旨解雇を選択し同人を直ちに企業から追放することは合理的裁量の範囲を超えた過酷な処分である。

解雇は解雇権の濫用として無効であるとした原審が是認された。

(海外判例)ドレスデン労働裁判所 (5 Ca 5954/02) 2003.7.7

概要
原告は実践助手。期間の定めのないポストが空いたので応募したところ、これへの採用が決まった。

しかし、部門主任の妻もこのポストに応募していた。
採用後、原告は主任やその上司から疎外されたり侮辱されたりするようになった。

例えば、ミーティングの参加を断れたり、病欠から復帰すると、主任から「来てほしくなかった」と言われ、さらに仕事が進んでいないことや病気欠勤も非難された、仕事のデータが入っていたコンピュータが持ち出された、など。
原告は、重い精神的負担で出勤できなくなり、うつ病と診断された。

判決
これは職場のいじめに当たり、基本法(=憲法に相当)1条(人間の尊厳の保護)ならびに同2条(人格の発展)の侵害に当たる。

(※ドイツには職場のいじめを直接規制する法律はない。損害賠償については民法典823条1項、慰謝料は同253条2項、さらに労働契約上の義務違反による損害賠償請求は同280条1項、使用者責任については同831条に規定)
行為者と会社は、以下の賠償責任を負う。

人格侵害に対する損害賠償は2万5000ユーロが相当。
病気回復の見込みが立っていないことの慰謝料としては、1万5000ユーロが認められる。

労働不能により喪失した収入については、賠償として2万2000ユーロが相当。

以上合計で約6万2000ユーロ(約840万円)が認容された。

 

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