次のような場合は、懲戒権の濫用と思われます
(1) 懲戒事由と懲戒手段が就業規則に規定されていない場合
(2) 懲戒規定の内容が合理的でない場合
(3) 懲戒処分にあたり平等性が保たれていない場合
(4) 懲戒処分が規律違反の種類・程度等に照らして相当でない場合
(5) 手続きが適正でない場合
宮崎信用金庫事件 福岡高裁宮崎支部 平成14.7.2
顧客情報の持ち出しについてなされた懲戒解雇を否定した。
顧客の信用情報が記載された文書を不法に入手した行為につき、各印刷した文書および写しは、いずれも被控訴人の所有物であるから、これを業務外の目的に使用するために、被控訴人の許可なく業務外で取得する行為は、形式的には窃盗にあたるといえなくはない。
しかし、・・・就業規則・・・が懲戒解雇事由として予定しているのは、刑罰に処される程度に悪質な行為であると解される。
そうすると、控訴人らが取得した文書等は、その財産的価値はさしたるものではなく、その記載内容を外部に漏らさない限りは、被控訴人に実害を与えるものではないから、これらの文書を取得する行為そのものは直ちに窃盗罪として処罰される程度に悪質なものとは解されず、控訴人らの上記各行為は、就業規則75条2項4号には該当しないというべきである。