パワハラ乱用と認められるかどうかの判断
具体的には、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する場合には、パワハラの乱用とみなされ違法になると考えられます。
- 当該業務命令等が、業務上の必要性に基づいていないもの
- 外形上業務上の必要性があるように見える場合でも)、当該命令等が不当労働行為目的や退職強要目的など社会的に見て不当な動機・目的に基づきなされていること
- 当該命令等が労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を与えること。全日本空輸事件 (大阪地裁 平成11.10.18)では、退職勧奨が強要に当たるとされましたが、その認定によるところでは、次のような事実が明らかになっています(慰謝料50万円が認容)。
当事者の上司に当たる人たちは、約4ヶ月にわたり、復職のため30数回もの面談・話し合いを行った。中には約8時間もの長時間に及ぶものがあった。
この面談において、上司らは原告に対し、「能力がない」「寄生虫」「他の者の迷惑」などと述べ、原告がほとんど応答しなかったことから大声を出したり、机をたたいたりした。
また、一連の面談の中には、原告が断っているにもかかわらず、同人が居住する寮まで赴き実施したものがあったほか、原告の家族にも直接会って、退職するよう説得してくれとも述べた。