契約社員とは

有期労働契約の雇止め及び可否

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有期労働契約の雇止め

有期労働契約の雇止めに関する裁判例の傾向と判断要素

以下のような条件が、裁判所の結論を左右する判断材料となります。

(1)業務の客観的内容
従事する仕事の種類・内容・勤務の形態(業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等)

(2)契約上の地位の性格
地位の基幹性・臨時性(嘱託・非常勤講師等)
労働条件についての正社員との同一性の有無

(3)当事者の主観的態様
継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度等(採用に際しての雇用契約の期間や、更新なし継続雇用の見込み等についての雇主側からの説明等)

(4)更新の手続・実態
契約更新の状況(反復更新の有無・回数、勤続年数等)
契約更新時における手続等の厳格性の程度(更新手続の有無、更新の可否の判断方法等)

(5)他の労働者の更新状況
同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等

(6)その他
有期労働契約を締結した経緯

勤続年数・年齢等の上限の設定等

契約関係と雇止めの可否

純粋有期契約タイプ

期間満了後も雇用関係が継続するものと期待することに合理性は認められないもの
(1)業務内容が臨時的な事案であるほか、臨時社員など契約上の地位臨時的な事案が多い

(2)契約当事者が期間満了により契約関係が終了すると明確に認識している事案が多い

(3) 同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がある事案が多い

代表的な裁判例

亜細亜大学事件(東京地裁 昭和63.11.25)

原則どおり契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するものとして、雇止めの効力は当然に認められる。
実質無期契約タイプ

期間の定めのない契約と実質的に異ならない状況に至っている契約であると認められたもの
(1) 業務内容が恒常的であり、更新手続きが形式的な事案が多い

(2)雇用継続を期待させる使用者の言動が認められる事案が多い

(3) 同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどない事案が多い

代表的な裁判例

東芝柳町工場事件(最高裁 昭和49.7.22)

ほとんどの事案で雇止めは認められていない。
期待保護(反復更新)タイプ

雇用継続への合理的な期待が認められる契約であるとされ、その理由として相当程度の反復更新の実態が挙げられているもの
(1)業務内容が恒常的であり、更新回数が多い

(2) 業務内容が正社員と同一でない事案、同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がある事案がある

代表的な裁判例

日立メディコ事件(最高裁 昭和61.12.4)

経済的事情による雇止めについて、正社員の整理解雇とは判断基準が異なるとの理由で、雇止めを認めた事案がかなり見られる

期待保護(継続特約)タイプ

雇用継続への合理的期待が、当初の契約締結時等から生じていると認められる契約であるとされたもの
(1)更新回数は概して少なく、契約締結の経緯等が特殊な事案が多い

代表的な裁判例

福岡大和倉庫事件(福岡地裁 平成2.12.12)

当該契約に「特殊な事情等の存在」を理由として雇止めを認めない事案が多い

ネスレコンフェクショナリー関西支店事件 大阪地裁 平成17.3.30

原告5名は、契約期間1年の販売促進業務担当従業員(各店舗へ直行・直帰)で、1回から11回の更新を行っていた。

会社はこの販促業務を外部委託することとなり、委託先に移籍するよう要請し、予備的に雇止めの通知をした。
なお、原告らの雇用契約には「契約期間内においても解約することができる」との条項があり、就業規則にも事業の整理縮小等により冗員が生じた場合解雇する旨の定めがあった。

裁判所は、この解雇は合理的理由を欠くため、無効であるとした。その理由は、
(1)人員削減について、外注化が不可避であり、期間満了を待たずに実施しなければならないという事情が認められない。

(2)解雇回避努力として委託先への業務契約を勧めているが、被告が業務委託契約を打ち切れば、原告らが職を失う蓋然性が高く、その不安定さから、解雇が回避される場合と同等とは評価できない。配転についても可能であった。順次雇止めをしながら行うことも可能だった。

(3)解雇に至る経緯(=業務委託の必要性)について何等説明がされていない、とした。

また、雇止めについても、入社面接で「長く勤務」という趣旨の発言をしていること、更新手続きが厳格に行われていないことから、契約更新への期待を抱くだけの合理的理由があるとの判断となった(※この判断については会社側に対し厳しすぎるとの意見もある)

ユタカサービス事件 東京地裁 平成16.8.6

1年間の契約更新を7回更新した労働者(66歳)が雇止めとなった。

会社は、短期雇用者の定年を75歳とする労働協約を結んでいたが、当人の(1)無断早退、(2)警備するビルの浴室使用、(3)勤務中の喫煙、(4)勤務中の新聞読み、(5)巡回業務の懈怠を理由とした。

裁判所は、これまでの契約更新が形式的に行われたに過ぎないことと、75歳まで雇用する旨の労働協約の存在や、従業員の大半が期間雇用者であることなどを重視し、さらに、入浴=当該企業の課長の同意を得ていた、喫煙=常態化し黙認されていた、新聞読み=承認されていた、など、問題行動があるにせよ、従前から会社はこれを放任していたとし、雇止めは権利濫用だとする原告の請求を認めた。

自警会東京警察病院事件 東京地裁 平成15.11.10

被告病院と原告医師との研修契約につき、労働基準法第14条の上限を超える契約期間を定める労働契約は、同法13条により契約期間が1年間(※法改正前)に短縮され、この期間の経過後も労働関係が継続された場合は、黙示の更新(民法629条1項)により、期間の定めのない労働契約として延長されるとされた。

福岡市女性協会事件 福岡地裁 平成15.10.2

雇用条件の変更(週3日6ヶ月勤務→週5日2ヶ月勤務)を伴う雇用契約の更新申し入れを労働者が拒否した。

期間を6ヶ月とする雇用契約を約10年間更新してきた原告の業務は、名目こそ補助職ではあるものの、主体的に取り組んでいる業務の存在までうかがわれるものであって、原告の稼働状況は他の職員のそれに比肩すべきものがあるといえる。

かかる事情に照らせば、原告と被告との間には、期間の定めがない契約と実質的には異ならない関係が生じたと解すべきである。よって、単に期間満了を理由に雇用契約の終了を主張することは信義則上許されない。

金剛学園事件 大阪地裁 平成15.5.14

韓国人生徒が通う学校の教諭であった原告を、韓国語能力の符毒などを理由に有期雇用である講師に降格したのは著しく不合理であり、また、上記雇用期間を満了したとしての解雇は、人員整理を行う 必要性があったとも認められず、無効である。

久留米信愛女学院事件 福岡地裁 平成13.4.27

期間1年間の常勤講師として雇用され、適格性があれば専任教諭となれるという条件で雇用されていた教師が、(1)中学校生徒との口論 (2)高校生とのトラブル (3)先輩教師の指導・助言の無視 (4)生徒らの評価、などから適格性なしと判断され、雇止めとなった。

学校側は、「原告は、他人の話しや助言を真摯に受け止める資質に欠けており、常に自分が正しく相手が間違っているという態度であった。

そして、原告の資質は、他の教師からの助言を受け止める姿勢がないため、是正を期待することが困難である。」と説明した。

また、生徒らが、自主的に原告の復職反対の署名活動を行って、約90名の署名を集めていた。

同僚の教諭も、原告の生徒指導のあり方や授業を心配して、日常的に助言を行ったりしたが、改善された様子はなかった。

裁判所は、学校側の主張を支持し、原告の請求を却下した。

有期雇用で成果主義を徹底
日本IBM、600人が応募
日本IBMは、企業の事業運営やシステム構築などで助言を担うコンサルタント職約2,000人を対象に、成果主義を徹底した有期雇用契約化や業務委託契約化の選択肢を提示、応募締め切りの1月末までに約600人が応募した。

有期契約を選んだ場合、いったん退職してから2~3年の契約を結び直す。
日本IBMは「人材そのものが売り物であるコンサルタントが、プロ意識を持って働くのに適した制度」としており、今後他職種への拡大も進める。

対象になるのは同社や関連会社であるIBMビジネスコンサルティングサービスのコンサルタント職。

有期雇用契約に対し会社側は給与の総原資は増やさず、福利厚生分を給与に振り向けて手取りを増額する一方、成果による増減幅を拡大。

さらに、終身雇用より速い昇級も可能にする。
成果が上がれば大きく報いられる可能性があるが、成果が不振だと報酬ダウンや、契約打ち切りもありうる「ハイリスク・ハイリターン」型だ。

また、次長以上は個人事業主となって会社と業務委託契約も選べる。仕事が競合しない限り他社と契約を結ぶことも可能。
同契約を選択したのは、応募した600人のうち数十人だった。

日本IBMの城野和也人事・組織担当理事は「終身雇用の昇級システムと異なるため、雇用契約を結び直す必要がある。プロとしての自覚を持ってもらうのも狙い」としている。

今後も毎年募集し、コンサルタント職の有期契約への移行を進めていく。この結果を見て、エンジニアなど他の専門職についても導入できるかどうか検討する。
〈日本総合研究所の山田久・経済研究センター所長の話〉

中高年の雇用延長とセットで有期契約を導入する例はあるが、働き盛りを対象にした今回のような制度は国内では初めてではないか。

若くて優秀な人材に重要なポストや高い給料を与えるのに、終身雇用の手直しで対応するのには限界がある。選択制なので、働き方を広げる意図が読みとれる。

ただ、リストラの隠れ蓑に使われる可能性もあり、どんな業種や職種にでも導入できるものではない。

 

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