目次
- 1 東北生活文化大教授性的強要事件 仙台地裁 平成11.6.3
- 2 秋田県立農業短期大学事件 仙台高裁秋田支部 平成10.12.10 秋田地裁 平成9.1.28
- 3 仙台セクシャルハラスメント(ピアノ教師)事件 仙台地裁 平成.11.7.29
- 4 仙台セクハラ(自動車販売会社)事件 仙台地裁 平成13.3.26
- 5 青森セクハラ(バス運送業)事件 青森地裁 平成16.12.24
- 6 札幌セクシャルハラスメント(自動車販売会社)事件 札幌地裁 平成8.5.16
- 7 繁機工設事件 旭川地裁 平成1.12.27
- 8 旭川セクシャルハラスメント(建設会社)事件 旭川地裁 平成9.3.18
- 9 名古屋セクハラ(K設計・第2次仮処分)事件 名古屋地裁 平成.16.2.25
- 10 N大学セクハラ事件 名古屋地裁 平成15.1.29
- 11 豊橋総合自動車学校事件 名古屋地裁 昭和.56.7.10
- 12 大阪セクシャルハラスメント(葬祭会社)事件 大阪地裁 平成8.4.26
- 13 大阪セクシャルハラスメント(運送会社)事件 大阪地裁 平成.7.8.29
- 14 大阪セクハラ(S運送会社)事件 大阪地裁 平成10.12.21
東北生活文化大教授性的強要事件 仙台地裁 平成11.6.3
概要
元東北生活文化大の女性職員が、学生時代の指導教官であり、当時の上司である男性教授から、脅され車内で無理矢理性的関係を持たされたとの訴え。
判決
職員に対する教授の立場を利用した行為として、700万円の損害賠償の支払いが命じられた。
出典・参考:職員からの相談実務のてびき(日本人事行政研究所 職員相談研究会監修)
秋田県立農業短期大学事件 仙台高裁秋田支部 平成10.12.10 秋田地裁 平成9.1.28
概要
被告:教授
原告:短大研究補助員
原告が、研究室の教授とともに学会出席のため出張した際、宿泊先のホテルの室内で、教授にベッドに押し倒され胸を触られるなどのわいせつ行為を受けたとして、慰謝料及び弁護士費用の支払を求める本訴を提起したのに対し、被告教授は名誉毀損を理由に反訴を提起。
判決
第一審
強制わいせつ行為に対する原告の対応及びその直後の言動に関する原告の供述内容には、強制わいせつ行為の被害者の言動としては、通常でない点、不自然な点が多々存在することからすれば、ホテルの一室で強制わいせつ行為があったとする原告の供述よりも、これを否定する被告の供述の方が信用性において勝るというべきであるとして、セクハラの事実を否定。
被告が名誉毀損を請求し、原告の各行為により、被告の名誉感情が著しく侵害され、また、被告の大学教授としての社会的信用が著しく毀損された、とこれが認められ、60万円を認容。
第二審
事実認定で逆転し、研究補助員側勝訴。慰謝料 150万円、弁護士費用 30万円を容認。
教授側は敗訴し、請求棄却
原告の供述は、一応詳細で、具体性を持ち、体験した者の臨場感を感じさせるような供述も含まれている。これらの供述は、反対尋問によっても矛盾や崩れを感じさせることのない程度に強固に一般性を持って述べられている。
教授は、原告が真摯な抵抗をしていないこと、原告が教授の行為から逃れた後も、教授を非難することも、退去を求めることもしていなかったこと、行為後も予定どおり学会に参加し、観光して帰宅していること等、被害者としては不自然だと主張している。
しかし、性的な被害を受けた人々の行動に関する諸研究として、逃げたり、声を上げたりすることが一般的な抵抗であるとは限らないこと、職場での上下関係や同僚との友好的関係を保つための抑圧が働き、これが、被害者が必ずしも身体的抵抗という手段を採らない要因として働くことが、研究の成果として公表されており、性的被害者の行動のパターンを一義的に経験則化し、それの合致しない行動が架空のものであるとして排斥することは、到底できない。
出典・参考:判例時報1629号、働く女性と労働法(東京都産業労働局 2004)、セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック(第二東京弁護士会)
仙台セクシャルハラスメント(ピアノ教師)事件 仙台地裁 平成.11.7.29
概要
被告:ピアノ教師
原告:ピアノ練習者
原告は10歳の頃から被告にピアノの個人レッスンを受け、また、原告が大学在学中は、その講師としてもピアノの指導を受けてきた。
ところが、被告教師は、原告が中学3年の時にキスをしたことをはじめとして、高校入学後は下着の中に手を入れる、性器をもてあそぶなどのわいせつ行為に及び、大学入学後には、ついに性交渉を持たせた。
その後も原告は、大学を卒業するまで、複数回同様の関係を持たされた。
これにより、原告は甚大な精神的損害を被るとともに、現在外傷後ストレス障害及び解離性障害を発症しており、ピアニストになる道も、事実上閉ざされたと感じている。
請求額 1,100万円(慰謝料 1,000万円、弁護士費用 100万円)
判決
原告勝訴 900万円(慰謝料800万円、弁護士費用100万円)を認容。
被告の反論(1):原告主張の性的行為は合意の上のことである。
原告が被告に抱いていた尊敬及び畏怖の念から常に被告が原告に指導ないし指示をし、原告はこれに従わざるを得ないとの関係にあったもので、原告が明示的な拒絶の姿勢を示さなかったからといって原告の同意があったということはできない等として、排斥。
被告の反論(2):仮に不法行為が成立するとしても、本訴提起の時から3年以前の部分については消滅時効が成立している。
原告の不眠、摂食障害、めまいといった症状や行動が、被告の行為を原因として形成されてきたことを原告が明確に受け止めたのは、医師の診察を受け始めた時であるとして、排斥。
その後、法定外で和解成立(平成11.8.9 800万円の支払と、控訴しないという条件)
出典・参考:セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック(第二東京弁護士会)
仙台セクハラ(自動車販売会社)事件 仙台地裁 平成13.3.26
概要
同僚による職場のトイレでの覗き見行為に関し、会社の対応が不適切だと抗議したことをもって解雇されたという事件。
判決
会社に職場環境整備義務違反があったとはいえず、原告の離職は任意退職にあたるとしながらも、事件発生後の会社の対応について、誠実かつ適正に対処する義務(職場環境配慮義務)を怠ったとして、会社に損害賠償責任(350万円)が認められた。
出典・参考:職場のトラブル解決の手引き-個別労働関係紛争判例集-(日本労働研究機構編)、働く女性と労働法(東京都産業労働局 2004)
青森セクハラ(バス運送業)事件 青森地裁 平成16.12.24
概要
かなり長期間に渡ったセクハラ事例。関係者の年齢はいずれも40歳代後半から50代。
原告は、自動車運送業を営む被告会社の従業員。
加害者は、会社の創業者の縁故(先々代の社長の息子)であり、ナンバースリーの立場にある。
全体の行為は、平成6年から、原告が退職した平成14年12月末までに発生。
被告は原告を睨み付けたり、1年にわたってラブレターを送ったりし、出張の際は同室者が風呂に行っている間を利用して、原告の部屋に押し入り、原告を押し倒し、下着を剥ぎ取り、力ずくで抱擁するなどした。
被告は、その後、自分の行動予定表を原告だけに渡す、原告に出張土産としてスカーフを渡す、原告に対し時間外手当という名目で給与を余計に支給するなどの行為をし、更に再三原告の自宅に電話してスナックに呼び出したりした。
原告は労働組合の委員長にそれまでの経緯を打ち明けたところ、委員長は被告にセクハラ行為をやめるよう注意し、その結果セクハラ行為は一時やんだ。
その後、異動の内示(降格を伴う)があった。原告は、被告との経緯から、会社が自分を排除しようとしているのではないかと感じた。原告は、職場での立場が悪化することを恐れ、これまで加害者の行為を我慢してきたが、こらえきれず、会社や労働組合に相談した。組合は、「加害者にも被害者にも家庭があるから、セクハラ行為の件は我慢してくれ」と言うばかりであった。
会社側の相談担当者は、加害者側のみから事情聴取して、被害者の「作り話」という回答を得た。
そうしたことから、原告は頭痛や身体の痛みなどを感じるようになり、定年前の50歳で退職せざるを得なかった。
加害者と被告に対し、連帯して約1,800万円を請求。
被告側は、事実関係を全面的に否認。
判決
裁判所は原告の主張を事実認定としてほぼ認めた。
事実の有無自体が争われている場合、結局のところ、原告・被告双方の供述の信用性を検討してその優劣を探らざるを得ない。これにより検討すると、原告の供述は、臨場感に満ちている。作り話や妄想であるとするのは困難である。
一方、被告の供述は、不合理で理解しがたい部分があり、虚偽により提訴された相手方に対する怒りや反感もほとんど感じられない。
こうしたことから、ほぼ原告の供述のとおりの事実があったものと認定できる。
会社は、認識の甘さや対応の不十分さがあり、通常であれば講じられるべき手段もしていない。被告の「手紙を渡したり、肩に触れたことはあった」との言及は、セクハラ行為になりかねないが、それにもかかわらず、事情聴取により事実確認をしたり、公平な立場の者の意見を求めたりしていない。また、加害者の供述のみから、被害者の「性格に異常性が認められる」などと判断している。
したがって、原告被っている被害は、加害者のセクハラ行為のみならず、会社の無理解な対応にも起因する。
586万円余りの支払を命ずる。
※精神的苦痛に対する慰謝料200万円(年齢などを理由に再就職が困難なことを考慮)に、 逸失利益として316万6,762円(再就職に1年を要すると判断し、1年分の給与相当とした)、さらに弁護士費用70万円をプラス。
なお、消滅時効の開始は、セクハラ行為の終了をもって開始する。債務不履行の消滅時効は10年間であり、時効の問題は発生しない、とされた。
出典・参考:労働判例(2005.6.1)
札幌セクシャルハラスメント(自動車販売会社)事件 札幌地裁 平成8.5.16
概要
原告は中古自動車販売会社勤務の女性(当時20歳)で、被告はその代表取締役。
被告は、原告の勤務時間中やそれに準じる時間帯に、事務所内及びそれに続く被告の私室において、約1ヶ月半の間、原告に対して性交を迫ったり、性的言動を繰り返し、抱き付くなどの実力行使に及んだ。また、原告の腕をつかんで自宅へ呼び入れ、ベッドに押し倒そうとした。
これらの行為により、原告は退職を余儀なくされた。
判決
被告および会社に各70万円認容
原告は普段から性的嫌がらせを受けている事実を数人にうち明けて相談していた。また、被告の供述にも不自然な点が多い。
社長は継続的に性的嫌がらせ行為等を行うことにより、故意に原告の性的自由を侵害し、その結果原告の退職を余儀なくさせた。
原告が社長と2人きりになったのは、社長の申し出を断りきれなかったからであり、被告の不法行為は、代表取締役としての立場と密接不可分なものであって、職務を行うにつきなされたものというべきである。
出典・参考:管理職のためのセクハラ講座 あなたの理解で大丈夫ですか?(ぎょうせい 金子雅臣 著)、セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック(第二東京弁護士会)
繁機工設事件 旭川地裁 平成1.12.27
概要
社内不倫を理由に解雇通告された。
離婚歴のある債権者側労働者X(女性)は、妻子ある同僚Aと交際するようになり、やがて肉体関係を含む恋愛関係に至った。このことは従業員、取引先にも知られるようになり、噂の種にされるようになった。会社の代表者Bは、Aに対し、X との交際をやめたほうがよい旨を忠告し、社内外で非難の声が上がっていること、交際により社内風紀が乱されている等の理由をあげてXに退職をして欲しい旨を伝えた。しかし、Xがこれを拒否したため、妻子ある男性と恋愛関係を続け会社全体の風紀・秩序を乱し、企業運営に支障をきたしたことを理由にXを解雇する旨記載した解雇通知書を手渡し、Xを解雇した。
判決
解雇無効。
債権者が妻子あるAと男女関係を含む恋愛関係を継続することは、特段の事情のない限りその妻に対する不法行為となる上、社会的に非難される余地のある行為であるから・・・「素行不良」に該当することは一応否定できないところである。・・・右規程中の「職場の風紀・秩序を乱した」とは、これが従業員の懲戒事由とされていることなどからして、債務者の企業運営に具体的な影響を与えるものに限ると解すべきところ、前記認定の債権者及びAの地位、職務内容、交際の態様、会社の規模、業態等に照らしても、債権者とAとの交際が債務者の職場の風紀・秩序を乱し、その企業運営に具体的な影響を与えたと一を認めるに足りる疎明はない。
出典・参考:トラブル防止の労働法(中央経済社 河野順一 編著)
旭川セクシャルハラスメント(建設会社)事件 旭川地裁 平成9.3.18
概要
被告:社長(市議会議員) 会社
原告:建築会社勤務の女性
被告は原告に対し「身も心も一緒にならないと話ができない」などと発言、打ち合わせの際、原告に抱きつき、押し倒した。また、勤務中に乗用車の中などで、原告の腰・胸等に触ったり抱きつくなどの性的嫌がらせを繰り返した。さらに、自宅を訪れ、原告の膝に顔を埋める等の行為に及んだ。
原告はこれに耐えきれず、退職するに至った。
原告は慰謝料として、300万円を請求。
これに対し、被告はこの申立を虚偽だとし、名誉毀損として、慰謝料2,500万円の反訴を行った。
判決
被害者勝訴。200万円を認容。
被告の行為は、原告の人格の尊厳を故意に侵害する不法行為にあたり、原告の雇用関係継続に対する権利をも不当に侵害する行為である。
これらの行為は、代表取締役である被告が、職務を行うにつき、その立場を利用して行ったものであり、被告会社は損害賠償責任を負う。
また、会社は商法261条3項、民法44条1項により連帯責任を負う。
被告からの反訴は棄却された。
出典・参考:管理職のためのセクハラ講座 あなたの理解で大丈夫ですか?(ぎょうせい 金子雅臣 著)、セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック(第二東京弁護士会)
名古屋セクハラ(K設計・第2次仮処分)事件 名古屋地裁 平成.16.2.25
概要
就業環境や上司・同僚のセクハラを訴えた女子従業員に対し、その後配転命令(名古屋→大阪)に服しなかったことに対する懲戒解雇が行われた。
セクハラの訴えの内容は、同僚の女性従業員が会社内の送別会で酔って動けなくなっているのを、原告が介抱したところ、通りかかった部長・次長から「女性にはいつもやさしいね、僕らには冷たいけど」などと言われた。原告は、その際、部長らが酔って動けない従業員に不要な身体接触をした(当事者は否定)とも主張。
原告が、部長らと共に業務に従事したくないと告げたところ、異動が示唆され、その後1ヶ月以上欠勤。雇用均等室・紛争調整委員会にも調整を求めた。
判決
セクハラの訴えの大半が事実と認められないとされ、懲戒解雇が有効とされた。なお、配転命令については「余人をもっては容易に替えがたいというような高度な必要性に限定されるべきではない」とされた。
出典・参考:労働基準広報(2002.7.21)
N大学セクハラ事件 名古屋地裁 平成15.1.29
概要
市立大学教授が、海外での調査旅行中に、秘書兼雑用係として雇用した女性に対してセクハラ行為を行った。
旅先のホテルで二人きりになった状況を利用して、原告の意思に反し、かつ、これに秘して、あらかじめバイアグラを服用のうえ、客室のドアを閉め鍵を掛けてセクハラに及んだが、これが失敗に終わった後にも、「僕は、家でねえ、妻とはもう長いこと・・・ないんだね。」など性的な話題をだしたり、「僕は甲子さんには特別な感情をもっていてねぇ。」「いつもそういう目であなたのことを見ていますよ。」などと原告に対する自己の性的ないしは恋愛感情をほのめかしたり、「あなたが結婚したら、僕はサッと手を引きます。」などと、あたかも原告との一時的な性的関係を望むような発言をするなどの言語によるセクシャルハラスメントを行った。
判決
市に対し、慰謝料として100万円、弁護士費用として20万円の支払いが命じられた。
少なくとも被告は、性的関係を結ぶ目的を有しており、かつ少なくとも原告を本件客室に誘った夕食の時点から、これらを計画的に行おうとしていた。
セクハラ行為は、公権力の行使に当たる職員がその職務を行うにつきなした違法有責な行為であり、市は国家賠償法第1条1項に基づき原告に生じた損害を賠償する責任がある。
なお、本件セクハラの訴えを原告が市に対し文書送付等を行ったことについての、加害者の反訴請求は棄却されている。
出典・参考:労働判例(No.860)、パワーハラスメントなんでも相談(日本評論社 金子雅臣 著)
豊橋総合自動車学校事件 名古屋地裁 昭和.56.7.10
概要
自動車学校のスクールバス運転手が、教習生との男女関係のため生徒数の減少や信用失墜を招いたとして懲戒解雇された事案。
判決
近年の自動車学校は、女性教習生の比率が高いことに徴すと、従業員とのトラブルが発生すれば自動車学校の社会的な信用は失墜し、女性教習生の減少となり、経営悪化につながるとされ、懲戒事由に該当するとされた。
出典・参考:労働法実務ハンドブック(中央経済社 宮本光雄ほか著)
大阪セクシャルハラスメント(葬祭会社)事件 大阪地裁 平成8.4.26
概要
被告:会長
原告:葬儀社勤務の女性
被告は採用間もない原告に対し、顧客を訪問中、原告の運転する社有車において、性的ニュアンスを有する発言、原告の太ももをさするなどの行為を行った。
その後、総務課長より、原告が被告からのコーヒーの誘いを受けたことが社員の間で知られていることを告げられた。
判決
88万円認容
被告の行為は、1回的で態様も必ずしも悪質とはいえないが、原告に再発の危惧を抱かせ、その人格を踏みにじるものであるから、社会的認容範囲を超え、不法行為を構成する。
被告の行為は、会長として行われたものであるから、事業の執行につき行われたと認められる。
出典・参考:管理職のためのセクハラ講座 あなたの理解で大丈夫ですか?(ぎょうせい 金子雅臣 著)
大阪セクシャルハラスメント(運送会社)事件 大阪地裁 平成.7.8.29
概要
被告:社長
原告:高校卒業後、被告が社長をつとめる運送会社に入社した新入社員
被告は入社間もない原告と二人きりの際、「Aちゃんは処女か」「AVのビデオ見たことがあるか」「わし、Aちゃんが欲しいねん」「ホテルに行っても暗いからわからへん。考えといて」などと性的関係を求める発言をし、原告が拒絶すると、「今金あんまり持ってないから」などと発言した。
原告はその後、体調を崩して出勤できなくなり退社した。
150万円の慰謝料を請求。
判決
50万円認容
原告の意思を無視して性的な嫌がらせを繰り返し、原告を困惑させて、結局退職させる結果を招いた。代表者である被告は率先して職場環境の維持改善を図るべきであるのに、これを積極的に悪化させた。被告の行為は原告に対する人格権の侵害である。
出典・参考:管理職のためのセクハラ講座 あなたの理解で大丈夫ですか?(ぎょうせい 金子雅臣 著)、セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック(第二東京弁護士会)
大阪セクハラ(S運送会社)事件 大阪地裁 平成10.12.21
概要
被告:会社・上司
飲み会後のカラオケで、同僚と歓談していたところ、突然被告が原告をソファーに押し倒し、倒れこんだ原告の上に乗りかかり、突然キスされたり、スカートをめくろうとされ、胸のボタンをはずされたりした。
会社と本人の連帯責任として、慰謝料200万円、弁護士費用20万円を請求。
判決
110万円認容(慰謝料 100万円、弁護士費用 10万円)
会社は、男性ドライバーと「オフィスコミュニケーター」との私的な飲み会を禁止していた旨、主張したが、それをもって業務遂行性が否定されるべきではない。
就業時間外であっても、男性の行為は、女性に対して職務上上位にあるという地位を利用して、業務に関連して行われた違法なものである。上司に対しても責任があるとされた。
(控訴)
出典・参考:管理職のためのセクハラ講座 あなたの理解で大丈夫ですか?(ぎょうせい 金子雅臣 著)、セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック(第二東京弁護士会)、職場のトラブル解決の手引き-個別労働関係紛争判例集-(日本労働研究機構編)