パートタイマーへの労働条件通知書
事業主はパートタイマー等を雇い入れたときは、速やかに労働条件通知書(または労働契約書や就業規則)を交付し、労働条件を明示しなければなりません(パートタイム労働法第6条、労働基準法第15条)。
労使紛争は、口約束からの「言った、言わない」の水掛け論になる場合が少なくありません。書面一つあれば防げることも多いのです。
通知すべき労働条件には、下記の項目が該当します。
(1) 労働契約の期間
(2) 就業の場所及び従事すべき業務
(3) 始業・終業時刻、所定時間外労働の有無、休憩時間、休日・休暇、交代制勤務等の配置
(4) 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金を除く)の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時 期
(5) 退職(解雇の事由を含む)特に重要なのは有期労働契約を結ぶ場合で、使用者が契約更新をする場合が あるとするときは、その更新基準を明示する必要があります。
以下の基準を参考にしてください。
契約更新の有無の明示
1、自動的に更新する
2、更新する場合があり得る
3、契約の更新はしない・・・等
判断基準の明示
1、契約期間満了時の業務量により判断する
2、労働者の勤務成績、態度により判断する
3、労働者の能力により判断する
4、会社の経営状況により判断する
5、従事している業務の進捗状況により判断する・・・等
パートの就業規則
正規従業員向けの就業規則がある事業所でパートを雇用する場合には、就業規則の各項目のその適用範囲を明確にしておくことが必要です (労働基準法89条)。
なお、就業規則は常時10人以上の労働者を使用する場合に作成義務がありますが、この「10人」にはパートタイマーも含まれます。
「パートタイマーとは、次に定める従業員をいう」という規定を置いて、パートの定義を明確にしておくとよいでしょう。
というのも、個別の労働契約と就業規則の内容が一致しなかった場合、就業規則の規定が適用されることになるので、たとえば、パートと個別に「退職金や賞与は支給しない」と取り決めたとしても、就業規則に支給する旨の規定があり、かつ、パートを除外することが明示されていない場合、正社員の就業規則がパートにも準用されるという結果を招き、トラブルの原因となるからです。
もとよりパートは就業時間などが正社員とは異なりますから、パート専用の就業規則を作成しておくことも、トラブル回避の有効手段であるといえます。