パワハラは許せぬ不法行為
1、職場におけるいじめや嫌がらせは,人格権を侵害する不法行為です。
2、いじめや嫌がらせを受けた場合,後々争いになった時、証拠の為に,言動を書面などに記録しておきま しょう。
人格権の侵害
1、パワハラは、労働者の名誉やプライバシーなどの人格権を侵害する行為であり,不法行為として損害賠 償責任が生じます。
2、人格権とは,人の生命・身体・自由・名誉・名前・貞操・信用など,法的保護の対象となる人格的な利 益のことをいいます(「法律学小辞典」有斐閣)。民法第710条は,身体・自由・名誉だけを挙げてい ますが,これは例示であって,人格権には信用や名前なども含まれると解されています。
パワーハラスメントを受けた対応
パワハラに当たる言動の具体的な状況を,日時や場所,周囲の状況などとともに,書面に書き留めておきましょう。
それをもって,上司や人事労務担当者などに職場環境の改善を求め,必要がある場合には,配置替えなどを要求しましょう。
パワハラにあった場合、同僚に理解を求め,サポートしてもらうのが一番ですが,場合によっては,上司や同僚など職場ぐるみでいじめを行うケースもあります。
最終的には,司法機関に訴えて,行為者にいじめをやめるよう求める仮処分を申請したり,人格権の侵害として損害賠償を求めることとなります。
パワーハラスメントについて
1、職権などのパワーを背景にして,
2、本来業務の範疇を超えて,
3、継続的に,
4、人格と尊厳を傷つける言動を行い,
5、労働者の働く環境を悪化させたり,雇用不安を与えること
などと定義されていますが,セクハラと異なり法令上の根拠はなく,裁判例においても一般的に認められるまでに至っていません。
ただし,最近の裁判例の中に,就業規則中の「パワーハラスメント」の規定を前提にしてではありますが,上司が部下について「やる気がないなら,会社を辞めるべき,あなたの給料で非常勤職員が何人も雇える,これ以上迷惑をかけないで下さい」といった趣旨の文章をポイントの大きな赤字で作成し,本人を含む部下十数名にメールで送信したケースにつき,パワー・ハラスメントの意図があったとまではいえないが(このメールの目的は部下を「叱咤督促」することにあり,表現方法は別として,目的は是認できるとしています),名誉毀損にあたるとして慰謝料5万円を認めたものがあります(A保険会社上司(損害賠償)事件・東京高判平成17年4月20日)