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事業主が職場における性的な言動に起因する問題に雇用管理上講ずべき措置についての指針
(平成十八年十月十一日 平成十八年厚生労働省告示第六百十五号)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十一条第二項の規定に基づき、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針を次のように定め、平成十九年四月一日から適用することとしたので、同条第三項において準用する同法第四条第五項の規定に基づき、告示する。
なお、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針(平成十年労働省告示第二十号)は、平成十九年三月三十一日限り廃止する。
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に雇用管理上講ずべき措置についての指針
1 はじめに
この指針は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「法」という)第11条第1項に規定する事業主が職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(以下「職場におけるセクシュアルハラスメント」という)のないよう雇用管理上講ずべき措置について、同条第2項の規定に基づき事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたものである。
2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容
- 職場におけるセクシュアルハラスメントには、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(以下「対価型セクシュアルハラスメント」という)と、当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(以下「環境型セクシュアルハラスメント」という)がある。
- 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれる。例えば、取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等であっても、当該労働者が業務を遂行する場所であればこれに該当する。
- 「労働者」とは、いわゆる正規労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規労働者を含む事業主が雇用する労働者のすべてをいう。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者についても、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の2の規定により、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、法第11条第1項の規定が適用されることから、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と同様に、3以下の措置を講ずることが必要である。
- 「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。
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「対価型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがある。
1、 事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、当該労働者を 解雇すること。
2、 出張中の車中において上司が労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、当該労働者について不 利益な配置転換をすること。
3、 営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議さ れたため、当該労働者を降格すること。
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「環境型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがある。
1、 事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、当該労働者が苦痛に感じてその就業意 欲が低下していること。
2、 同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該労働 者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
3、 労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該労働 者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容
事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければならない。
事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければならない。
なお、周知・啓発をするに当たっては、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。
職場におけるセクシュアルハラスメントの内容及び職場におけるセクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
1、就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクシュアルハラスメ ントがあってはならない旨の方針を規定し、職場におけるセクシュアルハラスメントの内容と併せ、労 働者に周知・啓発すること。
2、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に職場におけるセクシュアル ハラスメントの内容及び職場におけるセクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を記載 し、配布等すること。
3、職場におけるセクシュアルハラスメントの内容及び職場におけるセクシュアルハラスメントがあっては ならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
4、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の 方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理・監督者 を含む労働者に周知・啓発すること。
5、就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクシュアルハラスメ ントに係る性的な言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること。
6、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者は、現行の就業規則その他の職場 における服務規律等を定めた文書において定められている懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、 これを労働者に周知・啓発すること。
7、相談(苦情を含む。以下同じ)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は、相談・苦情への対応のための窓口を明確にすることについて配慮しなければならない。また、事業主は、相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮しなければならない。相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という)をあらかじめ定めること。
(1)相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
(2)相談に対応するための制度を設けること。
(3)外部の機関に相談への対応を委託すること。